プレコンセプションケアとは

プレコンセプション・妊娠 新乳児 乳児 幼児 幼児・思春期 成人(父性・補正)妊娠可能年齢 加齢

※図は令和元年国民健康・栄養調査から引用・改変

セクシャル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利;Sexual and Reproductive Health and Rights)という言葉をご存知でしょうか?自分の人生を自分で選択できる基本的な人権です。
その4本柱の一つが、リプロダクティブ・ライツです。子供をもうける、もうけない、産む産まない、いつ、何人など生殖に関わることを自分で決める権利で、生殖に関わる十分が情報や医療が受けられる必要があります。

そんな中で、プレコンセプションケア(プレ;前から、コンセプション;妊娠、ケア)妊娠前からの健康サポートが提唱されました。2008年アメリカで提唱され、日本での専門外来の開設は2015年が始まりでその後増えつつあります。将来の妊娠といる女性の選択肢を守るために、必要な情報提供と体と心の健康をサポートします。

将来の妊娠を守る過ごし方

生理のコントロール

生理が始まる(初潮)の時期は平均12歳前半で、15歳を過ぎて自然に始まることは稀なため15歳を目安に婦人医への相談がお勧めになります。月経が始まってもすぐに順調な女性ばかりではありません。妊娠の希望がない間は排卵を起こす必要はありません。大きな問題がなければ女性ホルモンを周期的に補充することで将来の妊娠を守ることができます。また、生理が辛い場合でも、大きな問題がなければ痛み止めの内服や、低用量ピル(LEP)などのホルモン剤で痛みのコントロールが可能です。望まない妊娠は女性のカラダと心に悪影響を与えます。避妊に対する正しい知識を持つことは大切なことです。

適正な体重を維持する

痩せも肥満も妊娠の効率を低下させるだけでなく、不妊治療でも、妊娠しても合併症が起きやすくなります。また、排卵障害の7割は適正な体重に戻すことで回復するとの報告もあります。食事で栄養バランスを摂り、適度の運動をし、趣味などでストレスを発散することは妊娠しやすい体を守るためには大切です。

タバコは吸わない

タバコの煙には、精子や卵子に悪影響を与える化学物質が多く含まれており女性においては喫煙は不妊のリスクを上げてしまいます。男性に関してはタバコの害について一定の見解はありませんが、周りの人への影響(伏流)からパートナーのことを考えて控えるのが望ましいと言われています。

アルコールは控えめに

適度のアルコールであれば妊娠の効率には影響をしませんが、妊娠中のアルコールは胎児に影響を与えます。妊娠前からアルコールは控えめが望ましいでしょう。

性感染症の予防

性器クラミジア感染症、性器ヘルペス感染症、梅毒、淋菌感染症、尖形コンジローマは性行為感染症として5類感染症とされています。クラミジアと淋菌感染は不妊の原因となります。妊娠時に未治療の梅毒があると流産・死産の原因になるだけでなく胎児が感染すると先天梅毒となり児に大きな後遺症を起こす可能性があります。近年梅毒が増加傾向にあり、不特定な相手との性交、オーラルセックス(口腔性交)により感染のリスクが上がります。特定のパートナーとの性交、性交時(オーラルセックス時も)コンドームを使用することが安全です。

アフタコンセプションケア

これまでの助産の考え方から産後の授乳期間は好きなだけと指導を受けている女性もいると思います。授乳中は次の妊娠に向けてのカラダの準備が遅れます。高齢での出産が増えた日本では、次の妊娠を目指す場合には、正しい知識を持って授乳期間も、次の妊活の開始時期も自分で決めましょう。

安全な家族計画

レプロダクティブ・ヘルスを保った生活をしても、どんな女性もその妊娠力は30歳を過ぎる頃から低下し、回復することはありません。自然妊娠の効率は加齢の影響で低下し、42歳を超えると自然妊娠がかなり難しくなります。43歳を超えると生殖補助医療の力を借りても困難になるため、保険での生殖補助医療は42歳未満に制限されています。女性の妊娠力の生物学的限界をしっかり理解してご自身の家族計画を立てることが必要です。