自然妊娠の仕組み

不妊の一般知識

自然妊娠の仕組み

自然な妊娠が成立するには(1)排卵(2)ピックアップ(3)射精・精子の移動(4)受精(5)受精卵(胚)の発育(6)着床(7)妊娠の維持が必要です。

(1)排卵

脳からのホルモンの調整を受けて卵巣内で卵子は成熟します。卵子は0.1mmほどで超音波では見えませんが、成長すると卵子を含む卵胞として観察されます。卵子が成熟すると脳からの排卵のシグナルで排卵が起こります。

(2)ピックアップ

排卵された卵子は、子宮とは反対側の卵管の端(卵管采)から卵管内(膨大部)に取り込まれます。

(3)射精・精子の移動

排卵期に性交があると、膣内に射精された精子は、子宮の頸部の粘液を通って速やかに(数分で)卵管の出合いの場である膨大部へ移動します。

(4)受精

精子は卵管内でしばらく(5日ぐらい)生存が可能で、排卵後24時間以内に卵管膨大部で精子と卵子が結びつき受精することが妊娠には必要とされます。

(5)受精卵(胚)の発育

受精卵(胚)は受精後、発育しながら卵管を移動し、受精後5−7日目には、主に胎児そのものになる部分(内細胞塊)と主に胎盤の元となる部分(トロフォブラスト)に分化した胚盤胞まで育って子宮内に至ります。

(6)着床

胚が子宮内に落ち着ついて妊娠するために、子宮の内膜の準備が整い着床のための窓が開いていることが大切です。排卵後に卵巣から分泌されるホルモンが重要な役割を果たします。

(7)妊娠の維持

着床した胚は、母親とは別の新たな命で、胎内で育つために、ホルモンだけでなく、胎児を支える胎盤形成が順調に進み免疫が調整されることが必要です。

目に見えない卵子と精子が結びついて新たな命として女性の胎内で育つには、上に挙げたようないくつもの過程がうまく行く必要があります。そのため、何の原因もないカップルの一周期の自然妊娠の効率は約20%と言われています。