体外受精プロトコール

自然周期では通常1個の卵子が成長しますが、卵巣刺激により複数の卵胞を成長させることが可能です。卵巣刺激法により、採卵される卵子の数は異なり、卵巣刺激が強いほど卵子数は増えますが、重篤な副作用の発生頻度も増えます。安全に効率よく妊娠するためには体外受精では卵巣刺激の選択が大切です。
超音波検査とホルモン採血でモニターをして適切な採卵日を決定しますが、採卵前に排卵しないように卵巣刺激と合わせて黄体ホルモン剤、GnRHアゴニスト(GnRH-a)、GnRHアンタゴニスト(アンタゴニスト)が使われます。

卵巣刺激には

A法-
卵巣刺激は行わずに完全な自然周期で行う場合
B法-
経口の排卵誘発剤による卵巣刺激を基本に、必要に応じて排卵誘発剤の注射(ゴナドトロピン製剤)を使用する場合
C法-
GnRHアナログで排卵の抑制をしながらゴナドトロピン製剤の連日の注射を行い多数の卵子の採卵を行う場合
D法-
誘発早期からプロゲスチン製剤を併用する卵巣刺激法(PPOS: progestin-primed ovarian stimulation)

などがあります。

当院では、B法のマイルド刺激法、C法のアンタゴニスト法、D法のPPOS法を基本としますが、卵巣の余力が減っている場合には、A法の自然周期、B法のクロミフェン単独周期をおすすめします。
詳細は、来院後説明をしますが、A法の自然周期、B法のマイルド刺激法を例示しますのでご参照ください。

  • A法:自然周期

    A法:自然周期の例
  • B法:クロミフェン+rFSH

    B法:クロミフェン+rFSHの例

子宮内膜の状態が良い場合、妊娠しても卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の発症のリスクが低い場合(A法など)では、採卵周期の移植(新鮮胚移植)を行います。子宮内膜の状態が悪い場合、OHSSの発症リスクが高い場合(若い女性、多嚢胞性卵巣症候群のマイルド刺激とアンタゴニスト法、PPOS法は全例)では全胚凍結を行い、翌周期以降に凍結胚融解胚移植を行います。