生殖補助医療にかかわる先進医療
生殖補助医療の保険適応に際して、まだ確立した医療とは言えず臨床研究としての評価、検討が必要なものが先進医療として検討が継続されています。
(1)PICSI
(2)タイムラプス
(3)子宮内細菌叢検査(EMMA/ALLICE)
(4)SEET法
(5)子宮内膜受容能検査(ERA)
(6)子宮内膜スクラッチ
(7)IMSI
(8)二段階胚移植法があります。
実施するには、実施責任医師の満たすべき要件と実施施設の満たすべき要件があります。新規施設のため、施設条件が満たされ次第、保険診療との併用を行います。(2)から(7)に関しては実施が可能です。
(2)タイムラプス
胚を培養する培養器内に内蔵されたカメラにより培養中の胚を一定間隔で自動的に観察記録する技術です。培養器外に胚を取り出す必要がなくなり安定した環境で培養できます。正確な胚の評価が可能で解析により妊娠の効率の高い胚を推定できる可能性があります。
(3)子宮内細菌叢検査(EMMA/ALICE)
子宮内は無菌ではなく、乳酸桿菌などが正常な細菌叢(フローラ)を作り出し病原菌による炎症が起こらないようにしています。その細菌叢の種類と構成をDNAレベルで解析して正常か否かを判断する検査です。
(5)子宮内膜受容能検査(ERA)
子宮内膜に胚が着床するには子宮内膜の状態が大切です。胚を受け入れる(受容する)ことができる期間(窓)が胚の発育状態と合っていることが必要です。着床時期の子宮内膜を採取し、遺伝子解析装置を用いて着床に必要な遺伝子の発現を解析します。そのデータに基づき、移植のタイミングや、内膜作成のためのプロゲステロンの開始時間を調整して着床しやすい時期に胚移植が行えるようにします。
その他の先進医療
その他の先進医療には、成熟精子の選別のための(1)PICSI(7)IMSI、あらかじめ凍結保存した胚培養液を移植数日前に子宮内に入れ着床環境の改善を目指す(4)SEET法、前周期に子宮内膜に機械的な刺激(損傷)を与え着床環境の計善を目指す(6)スクラッチ法、初期胚と胚盤胞の移植を2段で行う(8)2段階胚移植法があります。
(1)以外は対応は可能ですが、通常の技術では妊娠が困難な場合に行うべき方法であり、必要なカップルには十分な説明後相談で実施します