一般不妊治療とは

一般不妊治療では、排卵期の性交をとるタイミング法、排卵期に子宮内に精子を注入する人工授精によりに体内での受精、妊娠を目指す方法です。これらは、現在保険で治療を受けることができます。
排卵があり、卵子と精子が出会う卵管が機能していること、精液の状態が正常に近いことが必要になります。そのために、初期のスクリーニング検査が重要になります。

タイミング法

現在、自然妊娠の効率を上げるためには複数回の性交を、排卵5日前から排卵日までに取ることが推奨されています(アメリカ生殖医学会)。また、粘り気のないサラットして粘液が多い時が妊娠しやすいと言われています。
その時期に性交ができるように、月経周期、経膣超音波での卵巣、子宮内膜の状態、頚管粘液の状態を参照に妊娠しやすい時期を医師がお知らせします。もし排卵推定キットを使用する場合には、目標でなく性交終了の目安としてご自身で使用してもらっています。

人工授精

人工授精は排卵日を目安に、精液を専用の細いカテーテルで子宮腔内に注入して妊娠を目指します。精液は前処置(当院では密度勾配法)をして不純物を取り除き良好精子を回収した精子調整液を用いています。保険での回数に現時点では制限はありませんが、多くの場合には6回までで妊娠します。その効率は一周期の8-10%で3−4組に1組のカップルが妊娠しますが、その頻度は40歳を超えると10組に1組まで下がってしまいます。
当院では、必ずしも排卵日にこだわらず、排卵2日前から排卵日を目安に行っています。

排卵誘発

排卵誘発剤は、排卵のない女性、排卵が不安定な女性が本来の対象です、使用することで卵子の発育を促進しますが、複数卵の発育、多胎の発生の危険性があります。当院では、処方の際には通院によるモニターが必要なこと、複数卵が成長した場合には多胎予防のために避妊が必要になる可能性を説明しています。
排卵誘発剤には、飲み薬と注射薬があります。通常は飲み薬から開始しますが、必要であれば自己注射の注射薬を処方します。

子宮環境の治療

経膣超音波検査で、子宮内膜にポリープなどの腫瘍、内膜の不整、子宮筋腫による内膜の圧迫が認められた場合には、子宮ファイバーで直接子宮内腔の観察して治療の必要性を判断します。ポリープ、内膜の不整は当院での治療が可能ですが、筋腫に関して協力病院へご紹介します。また、難治性の不妊では、子宮ファイバーで観察し、慢性子宮内膜炎により子宮内の炎症があれば抗生物質で治療を行います。