不育症とは

不妊の一般知識

不育症とは

不育症とは、妊娠しても流産や死産になってしまいお子さんを得られない状態で、一般的には2回以上流産を繰り返す状態をいいます。
流産の多くは、偶然起こる受精卵の異常(染色体の異常)で起こり、その頻度は年齢と増加します。34歳未満であっても流産は15%ぐらいで起こります。2回流産を繰り返す頻度は5%と決して少なくありませんが早めから検査をすることが多くなりました。

不育症のリスク因子

不育症の原因は多くが原因不明とされてきましたが、流産した組織を調べると半分は胎児(胎芽)の染色体異常があることが知られてきています。従って、リスク因子の一つには女性の年齢があります。それ以外に不育症に関わる因子は、抗リン脂質抗体症候群、子宮の形態異常、カップルどちらかの染色体異常の保因者があります。

抗リン脂質抗体症候群

細胞表面を覆うリン脂質に対する抗体を産生してしまうことにより、着床や胎盤に関わる細胞の障害、血栓形成による循環障害が起こることで流産や死産を引き起こす状態です。ループスアンチコアグラントや抗カルジオリピン抗体などの抗体を調べることで診断され、適切な治療を受けるで多くの生児が得られています。不育症治療専門クリニックへの通院をお勧めしています。

子宮形態異常

先天的な奇形や大きな筋腫による子宮内腔の圧迫などは着床を阻害するだけでなく不育症の原因になることがあります。現在では、経膣超音波検査で診断することが推奨されますが、MRI等の他の画像診断も併用して外科的治療が必要かを判断します。

染色体異常

受精の過程で、受精卵には染色体異常が生じることがあり、多くの場合は妊娠しない早期に流産することで淘汰されます。多くは偶発的に起こる染色体異常に伴う流産で治療の対象となりません。

カップルの染色体異常

胎児(子)は、両親の遺伝情報をそれぞれ引き継ぎますが、遺伝情報(染色体数)を一定に保つために精子と卵子が作られる過程では遺伝情報が半分に減る必要があります。胎児の染色体異常の多くは、その減数分裂の過程で起こる(多くは卵側)の偶発的な異常です。遺伝情報の総量は問題なくても染色体上の位置が入れ替わった(相互転座)があると、精子や卵子が作られる過程で遺伝情報の過不足が起こり流産を引き起こすことが知られています。カップルの血液中のリンパ球の染色体検査をすることで診断が可能ですが、臨床遺伝の専門医によるカウンセリングが必要です。治療は必要ありませんが、生殖補助医療まで進めば、胚の染色体検査を移植前に行い流産を防ぐ着床前異数性検査(PGTーA)などの着床前診断が臨床研究として日本でも行われています。

胎児(胚)の染色体異常

流産に終わった胎児由来組織を調べると流産の多くには胎児(胚)の染色体異常が見つかります。治療に直接結びつかないので日常検査として流産物の染色体検査は学会でも推奨はされていません。繰り返すカップルでは、その流産が染色体の異常によるもので避けられないものであったかを知るために調べることは可能です。

内分泌異常

古くから、甲状腺機能の異常、糖尿病、その他内分泌の異常が流産に影響するといわれましたが、研究によってもはっきりとその関係が証明されてはいません。また、免疫の異常、血栓を生じるような病気、免疫の異常、精神的なストレスが流産に関与するとの報告もありますが、検査、治療ともしっかりと確立したものがないのが現状です。不育症への関わり、治療に関してはこれからの課題です。